Salesforce(やAccount Engagement)の運用を外部に頼もうとして、

  • 一括で設定してもらったのに、現場でまったく使われない
  • 担当者が代わった途端、設定の意図が誰にも分からなくなった
  • 「直したい」たびに都度発注が必要で、費用のわりに“回る状態”にならない

——こんなモヤモヤを抱えたこと、ないでしょうか。

これはベンダーの当たり外れの問題、というより、「代行」と「伴走」という“関わり方のタイプの違い”を理解しないまま選んでしまったことが原因であることが少なくありません。

この記事では、Salesforce/AEの運用を外部に頼もうか検討している管理者・情シス・営業企画の方に向けて、「運用代行」と「伴走支援」は何がどう違うのかそれぞれどんなケースに向いている/向いていないのかを、運用支援の現場目線で中立に比較します。

読み終えたときに「自社はどちらを選ぶべきか」を自分で判断できる状態を目指します。

※筆者はBtoB企業でSalesforce/Account Engagementの運用に携わり、認定資格を保有しています。「作ったのに使われない」を数多く見てきた立場から書いています。

結論|「代行」と「伴走」は“作業を渡す”か“回る状態を一緒に作る”かの違い

先に結論をお伝えします。両者の違いは、突き詰めると次の1点です。

代行は“作業を渡す”こと。伴走は“運用が回る状態を一緒に作る”こと。

  • 運用代行=設定・構築といった作業を切り出して外に出し、納品してもらう関わり方
  • 伴走支援=設定作業だけで終わらせず、「現場で使われて定着するところ」まで一緒に並走する関わり方

大事なのは、どちらが上ということではないという点です。

要件がはっきりした単発作業なら代行が速くて合理的ですし、逆に「使われる状態にしたい」「一緒に考えながら決めたい」なら伴走が向きます。

自社のフェーズ・体制・依頼内容で選ぶのが正解です。以下で、その判断材料を具体的に見ていきます。

そもそも「運用代行」と「伴走支援」は何が違うのか(比較表)

言葉の定義から整理します。

  • 運用代行=依頼した作業を外部が引き受けて実施する。「この項目を作ってほしい」「この入力規則を設定してほしい」に応える、作業のアウトソース
  • 伴走支援=意思決定と運用の“隣”に立つ。何をしたいのかを一緒に整理し、設定し、現場に定着させ、次の改善まで継続的に付き合う

両者の違いを、代表的な軸で並べると次のようになります。

比較軸 運用代行 伴走支援
ゴール 依頼された設定・構築の納品 現場で使われて回る状態をつくる
費用構造 スポット/都度・作業量ベース 月額など継続ベース
関わり方 依頼に対して対応(言われたことをやる) 定例などで並走し、提案もする
要件 固まっている前提で進む 一緒に固めながら進められる
社内にノウハウ 残りにくい(外に依存が残る) 残りやすい(自走に近づく)
既存設定との整合 依頼範囲外は見きれないことがある 全体を見て影響を調整できる
向くフェーズ 単発の構築・明確な作業 定着・改善・専任者がいない状況

ざっくり言えば、「作業を切り出せる状態」なら代行、「一緒に考えて回したい状態」なら伴走、という住み分けです。

【事例】“設定代行”で作ったのに使われなくなった現場

実際にあった話です。あるBtoB企業で、代理店(パートナー)のステータスを一覧で管理するために、Salesforceに「代理店階層」「BM締結日」「拠点数」「支店訪問ステータス」といった管理用のカスタム項目を複数作成しました。

項目という“箱”はきれいに揃った状態です。

ところが、いざレポートで集計してみると——

使われず空欄が目立つSalesforceの代理店ステータス一覧レポート
▶項目は作られているのに、中身がほとんど入っていない。時間が経っても入力は進まず、一覧として使えないまま形骸化した(個社特定情報はマスキング済み)

このとおり、歯抜けだらけで一覧として活用できない状態でした。

箱は作られたのに、中身が入っていない。

時間が経っても入力は進まず、結局レポートは形骸化してしまいました。

原因は、ツールでも項目設計でもありませんでした。

「なぜ・どこに入力するのか」が現場の末端まで伝わっていなかったのです。

項目を作った側には明確な意図がありましたが、その意図が現場レベルまで落ちていませんでした。

しかも、同じ情報を別途スプレッドシートでも管理していたため、Salesforceへの入力は各自の優先度で後回しになり、おろそかになっていったのです。

これは「代行的なやり方」——つまり“作って終わり”で運用の設計や現場への浸透が抜け落ちた状態——で、非常に起きやすい失敗です。

では、どうやって回るようになったか。

効いたのは、設定の追加ではなく「入力することのメリットを現場に伝えたこと」でした。

Salesforceにきちんと入力すれば、レポートだけでなくダッシュボードで視覚的に状況を確認できる、フローを使ってリマインドやホットな代理店の抽出が自動でできる商談など他オブジェクトとのつながりも見えるようになる——こうした「入力すると自分たちが楽になる・得をする」実感が現場に伝わって初めて、データが埋まり始めました。

箱を作ることと、その箱が使われることの間には、大きな距離があります。その距離を埋める作業こそ、伴走が担う部分です。

“設定代行”で失敗しがちな3つのパターン

誤解のないように言うと、代行そのものが悪いわけではありません。

ただ、「代行だけで完結させようとすると」次のような失敗が起きやすくなります。

  1. 作って終わり=運用ルールが無く、現場が入力しない 設定は完了しても、「誰が・いつ・何のために入力するか」が決まっていないと、上の事例のように箱だけが残ります。
  2. 意図がブラックボックス化=属人化・引き継ぎ不能 なぜその設定にしたのかが残らないと、担当が代わった瞬間に「触れない・直せない」状態になります。
  3. 改善が回らない=“直したい”たびに都度発注 小さな調整のたびに発注と費用が発生するため、現場の「ちょっと変えたい」が溜まったまま放置されがちです。

いずれも、作業の納品と、運用の定着の間にある“溝”から生まれる問題です。

代行が向くケース/伴走が向くケース(向き不向き)

とはいえ、何でも伴走がいいわけではありません。

中立に、それぞれが向くケースを挙げます。

代行が向くケース

要件が固まっていて、あとは“やり方”だけ、というタスクは代行で問題ありません。

たとえば——

  • 商談オブジェクトに「この項目を入力できる箇所が欲しい」など、作るものが明確な設定
  • ダッシュボードで「受注商談の所有者割合」「着地予測」を一元的に見たい、といった要件がはっきりした可視化
  • 「こういう条件のときはこの入力規則をつけたい」が固まっている入力規則の設定

やることが決まり切っていて、単にやり方が分からないだけなら、代行はむしろ速くて合理的です。

伴走が向くケース

逆に、要件が固まり切っておらず、最適解を一緒に探る必要があるものは、代行だと失敗しやすい領域です。

  • 新規カスタムオブジェクトの設計:既存オブジェクトとどうリレーションを持たせるかが肝で、最初の設定が後々まで重大な影響を及ぼします(「最初にこう設定してしまったせいで、これができない」が起きやすい)。議論しながら決めるべき部分です。
  • リード〜商談を横断する分析:「どのリードソースからどれくらい商談が生まれ、有効なチャネルはどこか」といった分析は拡張性が高く、話し合うことでより良い形になります。
  • 既存のフローや自社独自の設定が絡む改修:新しい設定を足しても既存の仕組みに影響が及ぶことがあります。代行は“依頼への対応”が基本なので、依頼範囲の外にある既存設定への影響までは見きれないことがあります。

そして、専任の管理者がいない・ひとりで兼任している作って終わりでなく現場に定着させたい少人数で日々の相談先が欲しい——こうした状況も伴走の出番です。

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ひとことでまとめると——やり取りが発生するもの、やり取りすることでより良くなるものは、伴走のほうが向いています。

よくある誤解|「伴走=丸投げ」「代行=安い」ではない

頼み先を選ぶとき、2つの誤解が判断を狂わせがちです。

誤解①:伴走=丸投げできる

伴走は「お任せで全部やってもらう」ものではありません。

何を・どんな目的でやりたいのかをやり取りするほど、良いものができる関わり方です。

目的を共有すれば、相手からさらに良い案が返ってくることもあります。

つまり、伴走でのコミュニケーションは面倒なコストではなく、むしろプラスに働くと考えるのが正確です。

誤解②:代行=安い

代行だから安い、とは限りません。

都度発注が積み重なれば結果的に高くつくこともありますし、大手コンサルに頼めば想定よりずっと高額になることもあります。

「代行=低コスト」という前提で選ぶと、費用面でも期待とズレることがあります。

迷ったときの選び方(内製化との関係も)

最終的に迷ったら、次の3つを自問すると整理できます。

  • 欲しいのは“納品物”か、“回る状態”か(設定さえ終わればいいのか、使われ続けたいのか)
  • 社内に運用できる人がいるか(手だけ欲しいのか、判断も一緒に担ってほしいのか)
  • 一度きりか、継続的に改善していきたいか

もうひとつ、内製化を見据えるなら伴走との相性が良い点も覚えておくと役立ちます。

伴走は「社内にノウハウを残しながら、自走に近づけていく」進め方なので、将来の内製化と両立しやすいのに対し、代行は外部への依存が残りやすい傾向があります。

なお、Steadmarkは「設定代行」ではなく、現場で回る運用づくりを一緒にやる伴走型の支援サービスです。

週1回の定例ミーティングとSlackでのやり取りを通じて、設定から定着・改善までを並走します。

「作ったのに使われない」を避けたい方には、こうした関わり方が合うかもしれません。

とはいえ、支援業者によってカバー範囲も得意領域も大きく異なります。

まずは自社が“何をやりたいのか”を自分の中で十分に噛み砕いたうえで、実際に相談してみるのが一番です。

話してみないと分からないことも、正直たくさんあります。

まとめ

「代行」と「伴走」は、どちらが優れているという話ではなく、関わり方のタイプの違いです。

  • 代行=作業を渡す/伴走=回る状態を一緒に作る
  • 優劣ではなく、フェーズ・体制・依頼内容で選ぶ
  • 代行だけで完結させると、作っても使われない・属人化するが起きやすい
  • 要件が固まっているなら代行、一緒に考えて回したいなら伴走
  • 「伴走=丸投げ」「代行=安い」は誤解。迷ったら“納品が欲しいのか・回したいのか”で判断する

自社が本当にやりたいことを整理したうえで、合いそうな相手に一度相談してみてください。

その一歩が、「作ったのに使われない」を避ける近道になります。

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週1回の定例ミーティングとSlack相談で、レポート整理から属人化の解消まで一緒に伴走します。「何から手をつければいいか分からない」段階でも大丈夫。

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